2011-03-27 生命は 吉野弘さんの詩です。 生命は 自分自身だけでは完結できないように つくられているらしい 花も めしべとおしべが揃っているだけでは 不充分で 虫や風が訪れて めしべとおしべを仲立ちする 生命は その中に欠如を抱き それを他者から満たしてもらうのだ [ (中略) 花が咲いている すぐ近くまで 虻の姿をした他者が 光をまとって飛んできている 私も あるとき 誰かのための虻だったろう あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない (詩集「北入曾」)