地平線

地と天を分ける線である。その線を境に、植物たちは根を地中深く、葉を天高く伸ばしていく。まさ
に母なる大地から、魂が宿るという天に向かって成長していくように見える。しかし、昆虫は天の一
番下あたり、地の一番上あたり、まさに命の渚ともいえる地平線近くで生き続ける。ぼくたち人間も
またそのあたりでアタフタ、ドタバタ、バッタバッタしながら生き、やがて土に還っていく。
昆虫のことを考えていると、いつもここに行き着いてしまう。当たり前のことだけれど、当たり前の
ことは不思議なことでもあるのだ。