オオクロアリ

昼間の気温が30度を切った翌日
二匹のアリを見た
いつもは忙しそうに
動きまわっているアリだが
一匹は草の茎にいる
イバラヒゲナガアブラムシの
甘い汁を吸って動かない
もう一匹は後ろにいて
触角でもう一匹の体に触れたり
行ったり来たり落ち着きのない行動が続く




餌の甘い汁を吸わずにいるアリ
本能で餌を採って巣に帰る
そのくりかえしの日常が
何かを感じてしまったのか
ふと昔
食事がのどを通らなくて
ただ々愛おしくて 会いたくて
せつなくて 悶々と過ごした初恋
そんな日があった事を
思いだしてしまった
思い出は人間だけのもの
なの かもしれない