アブ? ハチ?

写真はアブである。もう少し詳しく言うと「ヒメヒラタアブ」。人を刺すアブではなく、花の蜜や花粉
を食べるハナアブの一種だ。このアブ、分類上では双翅目というハエの仲間で、ハチとは種を異にする。
ハチは4枚の羽を持つが、アブは2枚(後羽が退化している)。胴体を見ても、ハチの腰のくびれはシ
ャープだが、この子は寸胴だ。一見してハチに「見える」けれど、実はハチに「見せている」と言った
方が正しい。つまり、毒をもっていないアブが、毒を持つハチに似せた身体で飾り自分を守っているか
らなのだ。擬態である。




さて、巣にかかったアブとハチ、蜘蛛がどちらを食べようと迷っているうちに、結局は共に逃げられて
しまう、「虻蜂取らず」。欲張って二つのものを同時に手に入れようとすると、結局はどちらも得られ
ず失敗することだが、もし蜘蛛が毒を持つハチの方を食べてしまったら、彼も死ぬことになる。まさに
ロシアンルーレット。アブにもハチにも逃げられた蜘蛛は、本当は幸せだったのかもしれない。