アカボシゴマダラ

8月24日、近くの公園で

葉裏にぶら下がっている

蝶を見つけた

もしかしたらアサギマダラか

頭の中はアサギマダラでいっぱい

あの筋骨隆隆のアサギマダラ

シャッターを切りまくった

50回シャッターを切ったようだ

もっと撮りたかったが

スーと舞い上がって消えた





嬉しくて 我慢できなくなって

友達にメールを送った

添付した画像をもう一度 見た

一抹の不安がよぎった

どうもアサギマダラではなく

リュウキュウマダラではないか

あるいは? 






しかし悪い予感はよく当たる

アサギでもリュウキュウマダラでもなかった

なんと環境省が指定した

要注意外来生物148種類の中

蝶類部門2種の一匹アカボシゴマダラだった





カメラを向けても悪びれず、警戒もせず

素晴らしいい被写体になってくれた

地球温暖化の影響、人間の仕業

彼らには責任はない

早く要注意外来生物のレッテルを

外して故郷中国に帰してあげたい

セミ(秋立ぬ)

蝉もカナブンも
立秋の朝 階段にいた
気温が一日中30度を切らない
暑かった ほんとうに暑かった
階段が涼しかったのか
2匹、3匹 彼らは集まって
ゴロンとひっくり返ったり
うつ伏せになって脚を伸ばしていた
もう何も怖いものはない
無防備な格好でも
そして 彼らは静かに昇天していった




風を受け
雨を感じ
草の匂いを吸って
樹液を力に
自然の中で生きてきた
あっという間の一生だったかもしれない
生き延びるために
体にチューブも入れない
酸素吸入もしない
見守る人もいない
でもジタバタなんかしなかった
吸い込まれていくように
すべてが抜けて形だけが残った

ミノムシ(みの吉、わが家に戻る)

六月の朝 消えたみの吉が
八月に戻ってきた
ゴーヤの葉影にぶら下がっていた
それも一番天辺に
どこで何をしてきたか
問わないことにするが
体もスリムになって
身につけている蓑が
少し派手になったような気もする




でもなにも問わない
ある人から聞いた話だが
オスは蛾にメスは一生蓑の中で
一生を送るという
そうするとみの吉でなくなるかもしれない
女の子の名前を考えなければ
咲とか彩芽と 迷うところだが
個人情報として扱うので、
名前は公表しないことにする

アブラゼミ

地中で約6年幼虫として生活して
2013年8月3日地上にでてきた
東京は気温30.8度、湿度53%、曇り 
彼らは 猛暑とか 酷暑だとか言って
口々に熱中症に罹らない様に
水分補給だ 塩分摂取だと騒いでいた
そのころ歩道のコンクリートの杭を登って
地上にでて羽化した一匹の仲間
柔らかく乳白に薄い翡翠色を混ぜた色の体は
暫くすると褐色に変わった脚も体も翅も硬くなって
あっという間に成虫になった。
幼虫時代に一緒に過ごした仲間も
同じコンクリートの杭を登って羽化した
会う事のない別れ
先に飛んで行った仲間の
残した脱殻に少し
ぬくもりが残っているような気がした。




僕らに残された時間は少ない
地上にでてきた仲間たちは
朝から晩まで夢中で鳴いた
ある日力尽きて、マンションの階段で
ひっくり返ってじっとしていると
体がだんだん硬直して、体が動かなく
なっていくようだった
おせっかいな親父が体をゆすった
硬直していた薄れゆく意識の中で
脚を少し動かした
親父は胴体をつかんだ
残っている最後の力を振り絞って
翅をばたつかせ ジ—と鳴いて
親父の手からすり抜け
空に向かって飛んだ
風に乗れたと思った

マツノクロホシハバチ

君の正体は
マツノクロホシハバチ
でも兄弟か姉妹かもわからない 
手掛かりは
黒いめだまと黄色いからだ
シンメトリーはきれいでも
それがなぜかわからない
だから自然はすごいのだ
わからない事がおおすぎて
意味がないと思っても
無駄なことだと思っても
みんな意味があるんだね
それが正しく解ったら
虫が嫌いな人たちも
毛虫を毛嫌いする人たちも
彼らを愛おしくおもうかも
気づかないことが多すぎて
損することがおおいかも



コフキゾウムシ

葛のおおきな葉の上で
天にむかってこしをふる
まるい目玉で前を向き
大きな体のメスにのり
オスはしっかりこしをふる
天にむかってこしをふる
誰に教えられた訳でなく
天にとどけとこしをふる
真夏の昼下がり
蝉時雨をききながら
微かにゆれる葉のうえで
天にとどけとこしをふる


ホソハリカメムシ

日が暮れるまで友達と
外で遊んでいた子供のころ
あれ どうなっているのだろうと
不思議に思うと
自分の空想の世界をどんどん膨くらませて
目を輝かせてその世界に入り込んで行った
事ってあったよね 
腹ばいになって草のなかに潜り込むと
そう 緑のトンネルはどんどん続くんだ




草や花の匂いがしたり
昆虫達の動く音が聞こえたり
ときどき鳥の囀りも聞こえたりしたよ
緑のトンネルの中にいると
時の経つのを忘れたよ
でも ジェット機が通り過ぎて
爆音と大きな振動が来ると
空想の世界から
現実に引き戻される瞬間だったね